名無し34歳の自分語り

妊娠~出産~子育てに関する備忘録です

変わらぬ日常

 

「つわり」をはじめとする妊娠時の不快な症状・トラブルは、ほとんどは「個人差」として片付けられてしまう。「妊娠は病気ではない」という慣用句の真の意味は、病気ではないので特効薬はなく、身体や精神を休め、やり過ごすしかないだそうだ。しかし、現実には、体調が悪いと弱音を吐く女性を批判する言葉となっている。

●想定外に大きくなるお腹

妊娠6か月目に入るとむくみが発生し、急に体重が増えた。その頃から、お腹が前にせり出してきた。7か月に入るとますますお腹が大きくなり、スカートやパジャマのパンツのウエストがきつくなってきた。洋服のサイズは、基本的にMだが、ゆるめが好みなので、価格やデザインによってはLを選ぶこともあった。「赤ちゃん本舗」の閉店セールや「楽天市場」内の店舗、無印良品で購入したマタニティ関連の服・下着は、MまたはLサイズ。このままだと、LLサイズに買い替えないと厳しいのでは? と思うくらい、標準より大きい。もともとの体型と骨盤の形、胎児の成長度合いによって、お腹の大きさは変わるという。予想外の状況に驚きつつ、これまでの数々の不快な症状とは別の意味で辛い。

「個人差」という曖昧な言葉は、書き手や発言者によって都合がいい。内容について、責任を負わなくて済むからだ。妊娠後の過程は人それぞれ。マタニティライフは、ある人にとってはハイテンションでハッピーな日々で、別の人にとっては苦痛の日々。出産予定日まで100日を切ったにも関わらず、まだ味覚異常が治らず、不眠と頻尿はますますひどくなり、仕事は引き継ぎのメドが立たず、出産・育児に関する準備は進んでいない。そもそも、子どもを産み育てるための「覚悟」が足りなかった。

●帰りの通勤電車で胎動を感じる

初めて胎動を感じたのは、2014年7月15日の帰りの通勤電車の中。その後、次第に頻繁に感じるようになり、最近は、かなり頻繁に動きを感じる。「音楽を聴かせたり、話かけたりして胎教しよう」というアドバイスは、不安を煽り、妊婦に商品を売りたい関係者の単なる宣伝。正社員としてフルタイムで働き、平日は、自炊する時間すら取れない状況で、雑誌やウェブサイトで、胎教やむくみの緩和や妊娠線を予防するためのマッサージなどについて楽しげに語る妊婦は、別世界の住人に見えた。子どもは、金銭的にゆとりのある裕福な世帯しか産むべきではないと改めて思った。

●キャリア女性しか恩恵を受けられない歪んだ出産・育児支援制度

公的な出産・育児関連支援制度は、妊婦健康検査助成金(妊婦検診費用補助)を除き、制度の整った会社に就業する正規雇用の労働者(正社員)しか恩恵を受けない。残念ながら自営業・フリーランス非正規雇用者は、ほとんどの場合、対象外だ。少子化対策として、非正規雇用者も対象に含めるなど、年々、拡充されているが、基本的に、年収の高い「正社員のキャリア女性」の就業継続を支援するものだ。辛うじて支援対象に該当する幸運に感謝しつつも、矛盾を感じる。少子化対策といいつつ、実際は、女性労働者から税金を徴収するための経済政策だからだ。政治家や企業経営者は、低スキルの日本人は、自然に任せ、淘汰されればいいと考えているようだ。

・首相はご存じ? 主婦の“再就職事情”
  安倍政権成長戦略のひとつに女性の活躍を挙げてくれたのは、本当に素晴らしい。ただ、今のところ恩恵を受けているのは「大企業で働く正社員」の女性たちだけです。

 最新の調査結果によると、自分と夫は、男女を合わせた同世代の平均年収を下回っている。首都圏や神奈川県の平均と比較すると、かなり低い。大卒という学歴を考えると、もっと上を目指すべきだろう。大学卒業時は就職氷河期だった。運よく、二人とも正社員として新卒で就職できたため、いまに至っている。これでも恵まれているほうだとはわかっているが、悔しい。

収入、スキル、性格、対人関係などを考えると、本来は子孫を残さず淘汰されるべき側であり、やはり無謀だったのかもしれない。貯金を切り崩さない限り、胎教や早期教育、祝い事、ベビーグッズなどに投じる費用はない。妊娠中も以前と変わらず仕事を続けているため、味覚異常や不眠、頻尿などのトラブルに悩まされている以外、ほとんど変わっていない。往復の通勤時間を含めると、1日の半分以上は仕事だ。少子化の原因の一つは、現代のライフスタイルと、動物としての「産み方」が合わないせいだろう。