名無し34歳の自分語り

妊娠~出産~子育てに関する備忘録です

「赤ちゃん本舗」閉店セールで買い物

 

妊娠判明直後に、地元の「赤ちゃん本舗」が閉店すると知った(2014年5月閉店)。閉店する直前に何度か店を訪れ、閉店セールで、下着など、5割引~3割引のアイテムをいくつか買った。実際に必要な時期になって使わない可能性が考えられるため、基本的なものに絞った。とにかく安い。

オープンから10年、地元のショッピングセンター(SC)の中核テナントとして、絶大な集客力を誇っていただけに残念だ。SC自体の閉店の噂が現実味を帯びてくる。市内に、他に大型マタニティ・ベビー用品専門店はなく、今後は、2駅先の駅直結ショッピングモール内の新店舗まで行かなくてはならない。ただ、幸いなことに、徒歩+電車で行く場合、自宅からの所用時間は、閉店した店舗と変わらない。店の規模は新店舗のほうが大きく、通勤定期を持っている間は、まったく問題ない。ただ、車で行く場合は、所用時間10~15分から40~60分程度に大幅に増えてしまう。

●「赤ちゃん本舗」の賢明なスクラップ&ビルド戦略

客足が減り、閑古鳥が鳴く前に、惜しまれつつも閉店し、近隣店舗に集約する。赤ちゃん本舗のスクラップ&ビルド戦略は、的確だと思った。自治体の関係者より、人口動向や商圏範囲をしっかり把握している。この10年間、地元の「赤ちゃん本舗」から徒歩5分~20分圏内に、80戸を超える規模の新築マンション、30戸程度の小規模マンションがいくつか建設された。中には、なかなか売れない不人気物件もあったが、「赤ちゃん本舗」がオープンした2004年竣工の新築マンションは、立地がよく、市内としては高額だったにも関わらず、竣工前に全戸完売していた。今になって気づいたが、このマンションに住むファミリーをターゲットに出店したのだろう。

ファミリー向けの新築マンションの購入者は、子どものいる家族、子どもを産み育てようと計画している夫婦が多い。しかし、最近は、一戸建てや老朽化した分譲マンションから住み替える高齢者の比率が増えているようだ。新築マンション建設計画は、2014年春竣工の2物件以降、しばらくない。マンション建設に適した空き地もなく、工場跡地の整備は、早くとも2017年以降になる。つまり、ターゲットとなる「妊婦」「ベビー・キッズ」が、大きく増える見込みがもはやない、ということになる。テナント料を考えると、売上の少ない店舗は閉め、同じエリアの大型店舗に集約させたほうがいい。既存顧客に対しては、ネット通販を利用してもらう手もあるだろう。

あと1年、妊娠・出産が早ければ、自宅近くに「赤ちゃん本舗」があるという便利な環境の恩恵を受けることができた。個人的には残念だが、仕方ない。販売中の新築マンションの販売担当者もウリが急になくなり、青ざめているだろう。

賃貸を含め、空き家が増えている中、新築マンション・新築戸建てばかり建設する新築持ち家優遇の住宅政策を批判する意見が目立ち始めている。現実問題として、「新しいもの好き」の日本人の多くは、新築を好み、大規模マンションが建設されなければ、他の地域からの移住による子育て世代(20代後半~40代)の人口が増えない以上、自治体は、「待機児童ゼロ」をはじめとした出産・子育て支援策を拡充し、同時に新築マンションの建設を、途切れなく認めなければならない。用地不足と都心回帰の傾向が重なり、地元は、ついに途切れてしまったため、人気の大型店の撤退を招いてしまった。一見、ささいなことに見えて、「街力」に対するダメージは大きい。

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